宇宙開発 月と火星とチンドン屋

今から44年前アポロ11号が月面に着陸をしました。1969年です。

その時は私が小学生でした。小学校から帰って、お昼ご飯を食べながらテレビを見ていた記憶があります。

7月20日 日曜日に月面着陸と現在の記録ではありますが、日本時間では7月20日では無く、前の日の7月19日土曜日だったと思います。テレビを見ていると宇宙飛行士が月面をピョンピョン跳ねたり、体を左右に揺らしながら歩いているのを見て楽しそうだと思いました。

私はずっとテレビを見ていたくて塾には行きたくないと思ったものです。

翌日、千代田区の日本武道館の奥にある科学技術館に兄と自転車で行き、宇宙飛行士の服や宇宙船の内部の写真などを見に行きましたが、物凄く混んでいたと記憶しています。

別に私はアポロ11号には興味が無くて科学技術館で売っていた、物珍しい科学実験セットがただ欲しかったのです。兄にそれを買って貰い、兄はそれを、なけなしの小遣いで買ってしまったので自分の物は何も買えませんでした。

その科学実験セットも実際にやる事は無く友達に自慢して盗まれました。兄はバカだなと笑っていました。やさしい兄貴でした。

数日後、チンドン屋がパチンコ屋の宣伝で月面着陸大放出サービスと書いた垂れ幕を背中にしょって、練り歩いていました。その時のチンドン屋のクラリネットのオッサンが、舟木一夫の高校3年生 西郷輝彦の星のフラメンコ おばけのQ太郎、魔法使いサリーなどを吹いていて、月面着陸とは全然関係ないじゃんと思いました。

また将来チンドン屋になんかには絶対なりたくは無いと思っていましたが、チョンマゲのカツラをかぶって太鼓を叩きパチンコ屋の口上を言っているオッサンの後で、体を左右に揺らしながら歩いて行くクラリネットのオッサンを見て、アポロ11号の飛行士も服を脱いだら、あのように歩くのかなと想像して自分自身で大受けに笑った事があります。

それから37年前の今日、アメリカのバイキング1号の探査機が火星に着陸しました。

私はその時には大学生です。当時、火星に着陸をした探査機を NASAはラジコンの模型を操作するように動かして写真を撮ったり、火星の石を調べたりしていたそうです。しかし、その様な凄いことでも私は興味が無く、大学の勉強そっちのけでアルバイトをしていました。

今、アポロ11号とバイキング1号の事を思うと人類の挑戦と科学の発展という事を思いますが、私はあの時のクラリネットのオッサンの方が気になります。

月面着陸大放出サービスとは、まったく違う星のフラメンコを吹いて体を左右に揺らしながら歩いている、あのオッサンが、何かカッコイイものに見えて、絶対なりたくない商売だったのが、やってみたいという気分になりました。

もし、オトレンの前で、クラシック音楽やり放題、料金格安サービスと書いた垂れ幕をしょって、クラリネットを吹いているオッサンがいたらそれは私です。

オトレンの美人スタッフさん達は絶対やらず、家族は皆、他人のふりをするでしょう。多分私1人です。