速記の日

今日は、速記の日だそうです。

私は大学時代に、速記を習っていました。なぜ習っていたかと言うと、新聞記者に憧れていたからです。

今思うと噴飯ものです。それでもその時の私は、大学3年生の時、大手新聞社に就職をしたくて勉強をしていましたが、今考えると就職試験の勉強はまったくやらず、余り優秀では無い先輩の言う事を聞いて、面接の時に、新聞社の持っている野球チームの話とか、新聞配達をしていて苦労話をしろとか、(私は新聞配達をした事がありません)   御社の社説には、毎回社会の現実を正そうとする姿勢が見られますとか言って、おべっかを言えとか、そして面接の時に笑いを取れと言われました。

それからは、私は野球をよく見ていて新人は誰かとか、今、勝率はどうだとか、また、新聞配達はしませんでしたが、酒屋の配達はしました。それから、面接官を笑わせる為に、ダジャレをよく考えていました。

先輩は入社試験なんか関係は無い。人間性だと言っていました。私も成績は関係が無い。人間性だ。優しさだ。正義だ。と、思うようになりました。

ある日、目的の企業説明会に行き、簡単なグループごとに判れ、会社の人が入って、なぜこの会社を選んだのか聞かせて欲しいと言い、私以外の人は、皆、なるほどと思う立派な答えを言い、私は、野球チームが勝率がいくつで、今年、新人の誰が入っているのを、新聞配達で酒も配達しながらラジオを聞いていて、いつも、ダジャレを言いながら、この新聞屋に入れたら、さぞや両親が喜ぶと思ったからです。と頭が真っ白状態でパニックになりながら言いました。社員の方は、新聞屋? と言い、マズイと思いましたが、後の祭りです。

それから、最近起きた政治の事件や、日米の関係の事を話し合いましたが、私の頭の中では理解不能で、この雰囲気をダジャレで一気に変えようとか、何か変な事を考えていました。

私の発言をする順番が来て、面接官らしい人が、君は世の中で、一番嬉しいと思うのは何ですかと聞かれ、想定していたものとはまったく違って、頭から湯気が出そうになり、とっさに、大学の授業が休講になり、家に帰って団子を食いながら、テレビのアニメ番組を見ることです。と、言ってしまいました。

一瞬、周りに居た学生たちが氷付くのを見ました。

2、3日後、先輩に説明会はどうだったと聞かれ、一部始終を言うと、大笑いされ、俺も去年その会社を受けたが、他の大学生は皆、まじめで面白くないところだと思ったが、しかし俺でも、家に帰って団子を食ってテレビのアニメとは言わなかった。お前の人間性が出ている。立派立派と言われましたが、その後その先輩の言う事は、聞かない事にしました。

しかし世の中不思議な事があります。大学4年生になり、その新聞社から内定の知らせが来たのです。

しかし、その年に私の兄が、急逝し、私は大学を辞め家業を継ぐことになったのです。

本当に人生は判りません。